2021/11/08

まったく人に会いたくない。

言外の意味ではなく、言語で対話がしたい。

それで、言外のことは、ひとりきりで、宝物のように大切にできる。

 

近ごろは、毎週決まった曜日と時間に、近所に住む翻訳友だちが遊びにきてくれて、ふたりで黙々とべつべつの翻訳作業をしている。翻訳友だちは、大学時代には言語学を専攻していたそうで、英語以外の言語についても、とくに文法や成り立ちに詳しいように思う。大学といって、東に一つ、西に一つ難関の大学があるとしたら、その東の大学の出であるようで、なんというか、学ぶことについて苦だと思ったことのない様に敬意を覚える。パズルが好きだから、パズル感覚で数学の計算問題(これは、わたしの想像する計算問題の類ではない、たくさんルートが入っているし、とわたしは思った)を解いているんですよ、と言う。

作業の合間の休憩中に、温かい黒豆茶をのみながら彼女と雑談をしていると、雑談なのに結局ことばの話に収斂されていくのが痛快。この間近所を歩いていたら野良猫が、も、Youtubeで見た水彩色鉛筆のレクチャー動画が、も、フィナンシェのレシピが、も、なぜかなんとなく言葉の話が混ざって、抽象度が高くなっていく。

 

彼女と話しているときは、言外の意味に気を配りすぎずに時間が過ぎていく。おそらく幸せなことだと思う。

友だちというには年齢差がある気もするけれど、英語でいうならmy friendだなと思うので、友だちだと書いてしまう。