10月16日(水)

夏にハンモックを置いてから、ねむる時もねむる気がない時もハンモックに揺られていて、今もハンモックに身を預けている。昼には、解凍した蒸し鶏と、甘長と牛肉をXOで炒めたのを半々で詰めたたんぱく質弁当を食べた。夜には、外に出ると、夜に外に出ると、秋通り越したみたいな空気。いきなり寒いので、いきなり寒いということもないかもしれない、でもいきなり寒い気がして、口をへの字にする。への字でむ、と言う。

 

夜に映画館で『宮本から君へ』を見た。ディストラクションベイビーズを見たときと同じ余韻(驚)。ディストラクションベイビーズを見た、新宿の映画館を出てすぐの、あの眩しさが、記憶でもないあの眩しさが、今日の映画で引っ張り出される。ワカサギ釣りみたいにズルズル引っ張り出される。ワカサギはチイこくてツルツルしているけど、今日のはエアーズロック釣り、みたいな。でかい岩が。ごろりと戻ってくる。記憶と呼んでも、いいのだろうか? わたしは、こういう時に、この岩のことを、どうしても記憶と呼べないな。どうして簡単に記憶だなんて決められるのだろうか? そういうことが本当にわからない。

 

池袋には舌打ちをする人、家の近所のコンビニには怒られたくないと無意識に思う人。渋谷では想像力がコール&レスポンスされたらしい。小沢健二の時代錯誤的なカリスマの明るさはどうでもいい(小沢健二は大好き)。ひとつずつに、素晴らしいとかそうじゃないとか、単純に価値をつけるのは無茶でとっても危険。とは言っても、ひとつひとつ有形無形のレンジが広いのは確からしい。レンジについていけなくて、目が回らないように目をつむりがち。目開けたら傷ついちゃうな〜と思っていた。

 

映画は目ん玉かっと開いている人たちが、叫び回っていました。すごくいい映画だった。