2月5日(火) flu, flu

fluを発症。

昨晩の高熱はおもしろかった。とりあえず休もうと床に入り、布団にくるまるとすっと眠りに落ちた。2時間後に目が覚めて、熱を測ると38.7。こりゃいよいよ。39になったら解熱の薬を飲もうと決めて、青い犬の目を開く。『青い犬の目』は、その日届いたばかりの古書で、幻と夢とだけを行き来する短編集。7年ぶりにハラリとめくると(7年前にレンタルして読んだ)、一つ目の短編に《高熱》の文字が踊る。シンクロニシティに僅かな高ぶりを覚える。体が波打って、鼓動が近く、内側から熱い。からだってこんなに動くんやな。青い犬の目の1ページ目、三度目の諦めに《音》が響く。脳にドンと衝撃。硬質な音が膨らみ、鉛の花びらを捥ぐような音が響く。同じくこちらの頭に鈍痛。一部だけ。ふつうの風邪の時よりも意識は冴えていて、ただただ体内で熾烈な戦いが行われている。たぶん今夜で決着がつくだろうという予感がした。棺に収められた、《死を生きる》25歳の青年の死を読みながら、己の勝利をわたしは確信していた。青年の意識は17年の死を生きて、25で死ぬところ。熱い、熱い、とうわごとを言った。青年の意識はだんだん四肢に届かなくなる。こりゃいよいよ。青年は恐怖する。わたしは確信している。

目覚めるとわたしは、青年のように死を生きることにはなっておらず、確信の通りfluを撃退していた。37.5。安らかにもう一つ眠り、起きて、微熱。小さな部屋に溶けていく幻らしさ。