2017-01-01から1年間の記事一覧

翻訳はいかにすべきか 柳瀬尚紀著

>>筆者の場合、翻訳の実践中、意識の奥底で、ほとんど無意識に近いところで、つねになっている日本語がある。『熱風』はその最も強烈なものの一つだ。詩人が発する「いっぱい」という語は、他の語で置き換えることはできない。たんに辞書におさまっている「…

書だ!石川九楊展

書だ!石川九楊展は、展示物のスパンが長いのもあってより多くを含んでいたけど、対象に蠢く感情を掬い取ってその髄を作品にしてあるので、感覚として有り有りと再現されるようだった。 身体が鳴っている、嗚咽のあとのようだ、喉元が実際に苦しい、悲しんで…

アピチャッポン・ウィーラセタクン 「Memoria」

アピチャッポン展示は、肉薄する感覚に焦点は合っていなくて、感じたことがある、という過去の経験をパッケージしているみたいだった。 温度、湿度、匂いやムードが希薄なのは、主題が幻視、幻聴だったから、腹に落ちた。 幻を見ている人を、見ている。あの…